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遥か遠い昔、天空想世界が誕生する前の事。

荒廃した天空に覆われ限りなく続く大地で、繰り返される誕生と昇天。

光一つ見当たらない暗黒の空間で、産声を挙げた一つの魂。

目覚めた時には既に視界に映る景色は全てが混沌に包まれていた。

自らの存在を自覚してはおらず、何者であるかも知る由もない。

やがて、とある星へと降りたった魂は微かな光を放ちながら、新たなる生命(いのち)として神の肉体を得たのである。

そして、眼を開き横たわる身体を起こし、瞳に映る景色を静かに見つめていた。

周りを見渡しても、誰も何も居ない。

何も発せず、何も言わずただそのまま。。。

まだ言葉も解らないにも関わらず、その緑豊かな景色の美しさは本能で理解し感じ取れたのだ。

次の瞬間には、大地を蹴り上げ全速力で走り出していた。

風を切って駆け抜ける快感、透き通る空気、優しく包み込む植物達。

次第に立ち止まり力尽きる様に、その場で後ろへと倒れていった。

残された物(者)達を数え続けて。。。

心地良い痛みに身を委ねながら、自らの腸(はらわた)を引き摺り目の前にある生に縋(すが)りつく。

どれだけ幼い赤子であろうと。。。

軈(やが)て肉体が滅びゆく瞬間(とき)、魂は朽ちた亡骸(抜け殻)から姿を現す。

限られた暗闇の空間で、自らの使命(役目)を終えたと悟り、その背に紅い翼が広がり飛び立つのだった。。。

死と言う名の繭(ゆりかご)の中で、再生の刻を待ち続ける。

こうして、来世で新たな生命(いのち)を授かり転生する。

姿容を変えようと、その魂は永劫生き続けていく。。。

輪廻と言う運命(さだめ)の許に。。。

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