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気が付いた時には、既に手遅れだった。

俺が見てきた物は全てが幻想だったと思う。

目が覚める度、どれだけ時間が経ったか、ただそれだけを理解するのに手間を掛けてしまう。

与えられた命が、より確実に磨り減って行くのが、僅かに感じ取れる。

後悔ばかりが先に立つ人生は、この手で破壊したい。

無意味な行動で、脳細胞が次々と死んでいく。

誰かがこの叫びを聞いてくれて居るかも解らない。

 

脆く崩れやすい硝子の心が砕け割れる度、触れる破片が自分を傷だらけにしてしまう。

 

指先をなぞる様に、身体を赤く染めていく。

 

舌先に運ぶ、汚れた金属の味が、生気を奪い去る。

 

一秒足りとも、この世に居たくは無い。

 

見せ掛けの戯言は聞き飽きた。

 

大分待たせたな…。

 

さぁ、もうすぐ…お前の傍へ行こう…。

 

二度と…寂しくはさせない…。

 

全ては自己満足の檻の中で…。

 

The End…。

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