Chapter 5「禁忌と種族を超えて。。。」
ゆっくりと瞼を閉じて。。眠ろうとしたその時!
「。。んっ。。。レーナさん?どうして密着しているの?」
優しく囁く様な甘い声で、背中越しに訪ねてきた。
「起きていたのかい。。?すまない。。。許して欲しい。。。事情は後で話すから。。。」
「良いわ、好きなだけ満足するまで。。」
「ありがとう。。ではお言葉に甘えて。。。」
「ねぇ?さっき、震えてたよね?大丈夫?」
「もしかして、気づいていたのかい?既に目覚めていたのか」
「うん、実は寝た振りをしてたの。ちょっと恥ずかしいけど、キスされた事も知ってるんだ」
まさかそこまで知られていたとは。。。事後である以上致し方あるまい。。。
「いきなり唇を奪ってすまなかった。助けてくれた細やかなお礼だ」
「そうだったのね。。。正直、嬉しかったなぁ。。。」
「本当か?大抵なら嫌われるだろうが、君は変わっているな」
「だって。。。あんな風にされたらね。。。心まで奪われるわよ。。。」
「そう簡単に奪えたら、君はもう私の餌食さ」
「それでもレーナさんになら、何を奪われても良いかも。。。」
不意を突く言葉に、一瞬時間が止まった様に感じた。
このままでは本当に全てを奪ってしまいそうになる。
抑え切れない理性をどう制御すればいい。
「ナナさん、君は本当に私に全てを奪われても良いのか?」
「えぇ構わないわ。でも、一つお願いがあるの」
「何かな?私に出来る事なら何でも言ってくれ」
「あのね、もう名前だけで呼んで欲しいの。他人行儀なのは止めて、距離を縮めたいから」
「解った。君が望むならそうしよう。ならば、ナナも私を呼び捨てにしてくれないか?君は特別な人間だ」
「良いわ、貴方が望むなら。。。」
この瞬間、二人の距離は少しずつ近づいていた。
背後から抱き締めていたが、次第に対面する形で振り返ってきた。
目と鼻の先に、若く美しい女の透き通る白い肌がある。
同時に、ナナは徐々にレーナに心を惹かれていた。
それは、初めて出会った人間では無い魔物に対する好奇心や、自分に優しく接してくれた男性への隠れた愛情なのか。
出来る事なら、二人で溶けて交わりたい。。。
そして。。。無言のまま密着する中、ナナはレーナに語り掛けた。
「。。。レーナ?もっと。。。抱いて?息が出来なくなる位に。。。」
何も言わず、レーナはより強く抱き締めた。
今はただ、ナナの望みを叶えてあげたいと言う気持ちが溢れていたのだ。
加えて、自身の秘密を打ち明けようとしていた。