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「Vampbite(Cross of bloody memoria)」

 

Chapter 1「邂逅」

僅かな風も吹かない、余りにも静かな満月の夜に、あの衝動に襲われる。

 

……人間に……噛みつきたい……。

 

しかし、誰でも良い訳じゃない。。。

 

私の心の中で、噛みつきたいと本能的に選ばれた者だけだ。

 

もしも、近くに獲物が居ない時は…自らの身体に噛みつく……。

 

だが、それはとてつもなく虚しい行動。。。。

 

埋められない心の溝は開いていくばかり。

 

止まらないこの身体の疼き。。。

 

あぁ。。。美味なる鮮血を。。。。渇きを潤してくれ。。。

 

今求めるのは。。。雌の生き血。。。。

 

少し疲れてしまった。。。。意識が遠のいてしまいそうだ。。。

 

その場に倒れてしまいそうな一人彷徨う私の目の前に突然現れた、一人の若く美しい女。

 

見れば見る程。。。食欲をそそる。。。。

 

何処か懐かしい様な容姿や声に、我を見失いそうになってしまう。。。

 

「しっかりして!大丈夫ですか?歩けますか?」

 

優しく響く声と慈悲深く手を差し伸べてくれる彼女に助けられた私は、

薄れゆく意識の中、決して聞こえるはずのない、彼女の心の声が聞こえていた。。。

 

(お願い。。。私に噛み付いて。。。)

 

これは幻聴か?いや違う、確かにあの時。。。。

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