Final Chapter 「愛欲と祝福の夜明け」
雑念から解放され、愛情で満たされ、血を求める。。。
さぁ。。。血欲の宴を始めよう。。。
「ナナ。。。私はこれ以上。。。生き血を求める衝動を抑え切る事が出来ない。。。頼む、君の。。。その新鮮な血をほんの少しでも私に与えてはくれないか。。。?」
彼は一切の嘘偽りなくありのままの思いを投げた。
「んっ。。。あぁ。。。レーナ。。。もう貴方の好きにして。。貴方に愛されているのなら。。。私の血を喜んで捧げます。。。」
熱く滾るナナの身体には。。。甘く香しい真っ赤な血液が巡っていた。
どれだけ待ち望んだか。。。この瞬間を。。。
渇望を解き放ち、飢えを満たすのだ。。。!
「あっ。。。ねぇ?最後までしてくれるよね・・・?まだ。。。貴方を感じる為に必要な事が残っているの。。。私に噛みついて。。。そして。。。此処に。。貴方のそれを。。。」
彼女は切望を言葉にして耳元で囁く。。。
既にナナの右手が、レーナの筋が浮き立ち反り返った魔物を握っていた。
「ならば。。。このまま一つになろう。。。何処にも行かず、永遠にな。。。」
ゆっくりと彼女の身体を引き寄せ、耳元で甘美な言葉を与え、意識を惑わて、剥き出しの白い素肌を眺めると、美味な予感を掻き立てる。
待ち望んだ瞬間だ。。。さぁ。。。二人で溺れてしまおう。。。
ナナの両脚の間に潜む唇は、甘く猥らな露が溢れ流れていた。
そこへレーナは自分の分身を静かに潜らせようと徐々に身を寄せ、前へ進む。
「んっ。。!あぁぁっ。。。!。。。はぁぁ。。レ・・ナ。。。?今、とても幸せよ。。。」
「っ。。ナナ。。。私を感じるかい?君の膣(なか)は本当に暖かい。。。」
「・・えぇ、貴方を此処から全身に繋がっているのがはっきりと。。。」
「そろそろ。。。動き出すよ。。。良いか?」
「うん。。。私を壊して。。。」
もう言葉は要らない。動き始めるレーナの腰が、ナナの身体に衝突する!
獣の様に貪り合いながらも、互いを求めて反応する身体。
内部の肉壁を超えて最深部を突き上げる魔物の分身から生命の源となる雫と、次々と分泌される愛露が交わろうとしていた。
「。。ナナ、君は素敵だ。。。そして。。。最高に美味であろう。。。」
彼はナナの首筋へと口づけ、口内に潜む鋭利な牙を、肌に押しつける。
しっかりと噛み痕が残る様に。。。。
窪んだ部分に歯形や痕跡、そして赤い血が浮かび出す。
半分の痛みと、半分の快感の波が同時に押し寄せる。
口に広がる、愛しき者の肉味。
時間を掛けて、じっくりと味わい尽くす。
何物にも表現出来ない、究極の美味。
いつまでも、この至福の一時に浸っていたい。
貴女に噛みつくのは、一種の愛情表現の術。
「ナナ。。。どうか。。。私の首筋にも噛みついてはくれないか…?そうすれば…私はずっと…君を近くに感じ取れる…」
「良いわ・・貴方が望むなら。。。噛みついてあげる。。。たっぷりと愛を込めてね。。。」
遂に願いが叶った。。。この身体中を流れる、青い血を全て吸出して…。
そしたら…貴女は私を死ぬまで噛み続けられるから…。
青白い肌に…小さな歯で噛みつき唇で血を吸い上げる…。
「はぁぁぁ。。。これで。。。貴方はもう。。。」
愛する人間に抜き取られていく生気。視界が漆黒の闇に包まれていく。
「まだ。。。果ててはいない。。。君と共に。。。」
レーナの身体が再び動き出した。
彼女を見つめるその瞳には、眩い輝きを放つ光が宿っていた。
「さぁ。。。終幕は近い。。。私の遺伝子(たね)を宿そう。。。」
より激しさを増す二人の愛欲の一時は、終わりを迎えようとしている。
「んあっ・・・あっ・・・あぁぁっ!」
「うっ・・はぁ・・はぁ・・ナ・・ナ・・」
「レ・・レーナ・・感じるわ。。。貴方の生命(いのち)の鼓動を・・」
互いを確かめ合う様に、火照った肌を密着させる。
治まらない興奮に、自然と喜びの笑みが零れていた。
静寂なる満月の夜、人間と魔物が交わる禁忌を超えて新たな種の繁栄の兆しに、天より映し出される祝福の光が降り注いだ。
こうして、不老不死の魔物は生涯を共に生きていく最愛の人間と掛け替えのない瞬間(とき)を過ごしていった。
彼女の命が尽きる最後の最後まで…幸せを噛み締めながら…。